Drift Diary XV

iPadの第一印象

Posted by drikin on 2010年4月 4日 00:12
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前回、iPad発表直後の第一印象を留めておきたくて、殴り書き程度に書き留めたエントリーが、意外にも好評だったので、今日は、iPadを実際に購入した直後の感想を、前のエントリーと比較しつつ、書き留めておきたいと思います。

また、本日、日本時間の午後9時より、shi3zさんと、iPad発売記念Ustreamを行う予定です。ここでは、例によって、だらだらと、言いたい放題、語ろうと思っています。Ustreamは、僕のdrift showshi3z showで二画面中継になると思います。ぜひ、参加してください! 体力限界気味で、テンション低めでしたけど、Ust自体は、滞りなく終了。しかし、まさか、短縮URLのドメインが更新し忘れて、見れない人多発だったとは。。。ちょっと悲しすぎる。ありがとうございました。

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具体的な、製品レビューの前に、いくつか前置きをしておきます。
まず、iPadは、購入直後、即利用することはできません。お約束で、最初に、Mac(PC)と接続し、iTunesによる初期設定を行う必要があります。あくまでも、PC利用を前提と割り切ってるあたりは、iPhoneと同様です。この時、MobileMe及び、iTunes管理の写真、ビデオ、アプリなどの、同期を促されます。個人的には、今のAppleの最大の弱点と思っている信頼性の低いMobileMeなので、同期は、Safariのブックマークのみ、また、写真などのローカルコンテンツも、32GBのiPadでは、完全に同期できず面倒なことになると思ったので、現状、なにも同期してません。(実際@hokayanさんは、大量のiPhoneアプリが同期されて、面倒なことになったようです。。。)
伴って、現状は、アプリケーションに関しては、ほぼ初期状態で使っています。iPhone/iPadの最大の強みは、サードパーティアプリにより、無限に可能性が広がっていくことですが、これについて、書き出すと、収拾がつかなくなってしまいそうなので、今回のレビューでは、ほぼ初期状態でのレビューであるということを、予め明記させてください。

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ということで、例によって前置きが長くなりましたが、発表時の第一印象比較しつつ感想を述べてみます。まずは、最初に感じた、

自分が一番感じたのは、「iPadは、本質的にはマスに向けた製品」だと言うことと、「パーソナルコンピュータのパーソナルを更に次の次元に押し上げた」という事です。

について、これは、本当に、期待を裏切らない次時代のパーソナルコンピュータと言える出来であると思いました。それどころか、今のAppleには、iPhoneの好調などから、想像以上に早く、マスに普及するだけの追い風が吹いているので、iPhoneの時のように、数年を待たずしても、一気に普及する可能性すら感じる出来です。

iPadに関しても、同じで、最終的にはマスに受け入れられる製品だと感じたのですが、iPhoneとの最大の違いは、ギークの心が掴みきれないところだと思っています。

ここに関しては、もうちょっと使い込んでみないと、結論が出ませんが、事前の想像以上には、十分、ギークの心を掴み、ギークに買わせるだけの、魅力があると感じました。ただ、もちろん、このエントリーを未だにMacで書いているように、即、Macの置き換えになるものではないので、実際、どの程度、ギークな人たちにも受け入れられていくかは、興味深いところです。

文字入力に関しては、iPhoneのフリック入力のような、次世代を感じる進化はなく(ここが一番進化してない?)可もなく不可もない出来という感じです。決して、文字入力が困難と言うことはなく、快適に入力できるのですが、少なくとも、縦利用だと、ブラインドタッチも、両手親指打ちも厳しい感じです。現状、僕は、人差し指によるブラインドタッチをしている感じで、tweetやメール程度なら、快適な入力ができると思います。純粋な入力方法の進化以上に、個人的に、残念だったのが、文字編集方法の、不便さです。ここは、良くも悪くも全くiPhoneと同じで、編集したい文字を長押しタッチすると、虫眼鏡が出てきて、編集ポイントを移動したり、コピペするのですが、iPhoneとは違って、画面表示領域の制約が少ないので、画期的な進化がなくても、せめて、矢印キーによるカーソル移動的な操作は、サポートして欲しかったです。さらに言うと、文字が多く(小さく)表示されるためか、同じ操作でも、iPhoneより辛い気がします。ここは、完全にソフトウェアの進化で、改善できる可能性があるので、今後に期待したいです!

現実には、マスな人達が見たいと思うサイトは、メーカーであり、テレビ局であり、映画の公式サイトであり、これらは、現状、100%といってもいいくらいFlashを採用しています。そもそも、今どきは、mixiのサンシャイン牧場や、Facebookのcafeworldが動かなければ、多くのネットユーザーに受け入れられないでしょう。

この点に関しては、現状も、意見はかわらないのですが、最近思うのは、Appleには、ここにも、追い風が吹いてるような気がしています。というのも、Adobeは、Flashのアップデートに予想以上に苦労している感じで、未だに、Nexus OneなどのAndroid環境で、最新版Flashが提供されていません。それどころか、Mac版Flashプラグインでも、最前面のブラウザで、Flashが動いていると、かなりCPUリソースを消費しているのがわかります。バッテリーや、発熱に厳しいデバイスで、快適にFlashを動作させるには、まだ、ハードウェアリソースも、ちょっと足りないという気がしています。
それに反して、特にUSなのでは、大手のサイトが、早くから、iPad対応をうたって、話題になっていたりします。普及加速の追い風が、Flash不要HTML5普及の追い風にもなって、相乗効果で、思ったより早く、Flash問題を解決してしまうかも?という予感がちょっとしてきました。

iPadとeBookでも、iPadでのコンテンツは、写真や、色を活用した、雑誌的コンテンツ。eBookでは、文章メインの小説的なコンテンツを閲覧するために活用される気がしています。ただ、みんながみんな、それぞれのデバイスを持つとは思えないので、どちらか一つで済まそうとしたときには、iPadに軍配が上がると思います。

ここに関しても、基本的には、意見は変わりません。実際iPadに触ってみて、文字ベースの書籍などを読んでみると、eBookデバイスに比べると、明るすぎて、文字が目に入ってこない感じで、eBookの自然な表示に、明らかな優位性を感じますが、その他の使い心地、パフォーマンスなどをみると、普通の人は、小説的コンテンツだろうと、雑誌的コンテンツだろうと迷わずiPadを選ぶと思います。ようやく盛り上がり始めた、eBook市場には、最大の脅威になるでしょうし、Amazonなどは、しっかりと、iPadに最適化した、Kindleアプリを提供するなど、デバイスプラットフォームに左右されない、確実な、戦略を取ってきてるあたり、eBookデバイスありきのビジネスの難しさを感じました。

マルチタスクについては、画面が、広くなり、よりいろいろなことが、やりやすくなった分、iPhone以上に、必要性を感じますが、ここは、噂されているように、次期iPhone/iPad OS 4.0では、満を持して、解禁されそうな感じなので、しばらくは、我慢してみようと思います。
実際には、これだけ画面解像度があるので、Webアプリの使い勝手が、ものすごい向上していて、iPhone以上に、Safariだけで、事足りることも多いので、せめて、Safariのタブ操作をもうちょっと簡単にしてくれれば、マルチタスクがなくても、もうしばらく我慢出来そう気がするので、個人的には、マルチタスク以上に、Safariのタブ切り替えを簡単にして欲しいです!!ここら辺、先に述べた、ソフトウェアキーボードの矢印キーサポートなども、Androidな世界だと、すぐに誰かが、よりよいアプリケーションを開発して、問題を解決できるので、Apple環境のもどかしいところです。

また、かなり長文になってきてしまいましたが、まとめると、想像通り、クオリティの高い、すばらしい製品を作ってきたなぁというのが、感想です。また、タイミング的にも、Appleを取り巻く環境的にも、すべてが、ポジティブに回る環境が作られてきているので、まだまだ、Apple強いなぁというのが、率直な感想でした。

最後に、ここのところ、毎回のように、Appleから、ことごとく痛感させられるのが、Appleのソフトウェア指向なハードウェアの作り方の正しさですね。従来のハードウェアありきのCE機器の作り方は、そのハードウェアが、単機能で、シンプルであれば、はじめにハードウェアありきで、そのハードの制約の上に作り上げるソフトウェアの作り込みが上手く機能し、結果的に、製品の使い勝手に帰着したのですが、いろいろ出来る、なんでも出来るパソコン的発想が求められるようになった、今日のCE機器の世界では、何をしたいのか?どういうソフトウェアが必要か?目的思考で、その目的を達成するためのソフトウェアを快適に動作させるという考え方から、画面解像度や、CPU、メモリスペックなど、あらゆるハードウェアをバランスよく検討していく必要があるので、従来の家電メーカーが、この発想を変えられない限り、iPhone/iPadを模倣し、部分的な、ハードウェア性能だけを向上させ、結果的に、全体のバランスが悪い製品を作り出しAppleに駆逐されていく構図が続きそうだと思いました。
そういう意味で、従来、このような、ハードウェアを作るために必須となるOSの選択肢が、WindowsベースかMacベースのものしかなく、Apple以外が利用できるOSは、Winベースのものしかなかったのですが、Androidが参戦して、他のメーカも、(もの凄い頑張れば)Appleに匹敵するソフトウェアを作れるだけの土台は出来てきたので、期待したいです!(いまだ遠い目)

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